アニコム先進医療研究所とは
アニコム先進医療研究所は、遺伝子解析と獣医学、さらにデータサイエンスを組み合わせて診療に役立つ知見を生み出す民間の研究拠点です。年間で約800,000件に及ぶ臨床データが集まり、研究成果を迅速に現場へ返す循環型の体制を整えています。検査や解析で得られた発見が、短期間で治療や予防の指針へ反映されることが強みです。
研究と臨床が結び付く仕組み
全国ネットワークとラボが直結
次世代シーケンサーを備えるラボが、全国約1,100の動物病院ネットワークと連携しています。採取した検体は24時間以内に解析ラインへ移され、症例情報や遺伝情報、生活環境データを総合評価し、個体に合わせたリスクとケア手順を提示します。解析と診療が地続きになることで、診断の遅れを最小限に抑えやすくなります。
データ循環で高まる精度
臨床データと生活情報を同時に活用
検査数値に加えて、年齢や体重、生活環境の情報を組み合わせて解析することで、治療と予防の提案が具体的になります。検査からレポート提供までの所要期間を短縮し、現場での意思決定を後押しする設計です。
2025年の注目アップデート
判定マーカーの拡充と新テストの導入
腎機能や膵機能の早期変化をつかむ指標が追加
早期腎症や膵炎の兆候を拾いやすくする判定項目が増えました。総合パネルの見直しにより、軽微な変化に素早く気付けるよう最適化が進んでいます。
エピジェネティック年齢の測定に対応
DNAのメチル化パターンを手がかりに生物学的な年齢傾向を推定し、若齢でも代謝負荷が高い個体を早期に把握するアプローチが始まりました。ライフステージ別のフードや運動計画を調整しやすくなります。
犬猫以外のパネルも順次展開
猫専用の腫瘍ハイリスクパネルや、小動物向けの消化器評価パネルなど、対象領域の拡張が進行中です。種ごとの疾患特性を踏まえ、必要な検査を適切な負担で提供することを目指しています。
飼い主が得られるメリット
結果とケアがひとつの流れで分かる
アプリ連携で日常ケアまでスムーズ
検査結果は専用アプリに連携され、チャット相談やオンライン診療、食餌カウンセリングをまとめて利用できます。レポートは食事と運動、サプリ、定期健診の4項目で構成され、今日から実践できる形で提案が届きます。
費用対効果を見据えた活用
検査価格の目安は約10,000円から約30,000円です。遺伝的リスクや早期の兆候を把握して介入時期を前倒しできれば、長期的な通院回数や重症化の抑制が期待できます。繁殖計画がある場合は交配前スクリーニングで次世代のリスク低減にも役立ちます。
これからの展望
腸内環境と遺伝情報を統合
腸内環境スコアの追加予定
腸内細菌と代謝関連の遺伝情報を合わせて評価する指標の追加が予定されています。個体に合わせたフードやサプリの提案に直結し、健康寿命の延伸を目指す取り組みです。
マイクロRNAによる早期がん評価
血液中のマイクロRNAを指標にした低負担のスクリーニングが、研究段階から臨床試験段階へ進みつつあります。非侵襲の検査選択肢が増えることで、定期チェックのハードルが下がることが期待されます。
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参考文献
Anicom Holdings
データ解析体制と研究領域の紹介。遺伝情報や腸内細菌データの活用方針を確認できます。
Anicom Insurance News Release
疾患予防に関する共同研究の募集。予防とヘルスデータ活用の取り組みを把握できます。
Frontiers in Veterinary Science
液体生検や次世代シーケンスの応用を含む、伴侶動物における分子診断の最新レビュー。
https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2024.1394686/pdf
National Library of Medicine PMC
伴侶動物分野における次世代シーケンスの応用に関する包括的レビュー。
Frontiers in Veterinary Science
犬の腫瘍分野で注目されるマイクロRNAバイオマーカーの探索研究。
https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2024.1379146/pdf
PMC
犬血清中のマイクロRNAの安定性に関する研究。臨床でのバイオマーカー運用の前提条件を解説。
Petfood Industry
日本の大学とアニコムの共同研究に関する報道。口腔ケアや腸内環境の研究トピックを紹介。
PMC
遺伝子検査にアニコム関連施設が関与した報告。伴侶動物における遺伝学研究の具体例。


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