愛犬の下痢を正しく見きわめて、落ち着いてケアしよう

ある日いきなり便がゆるくなることは珍しくありません。多くは食べ慣れない物や急な環境変化がきっかけで起こり、家庭での見守りと食事管理で回復するケースが少なくありません。大切なのは原因の見当をつけて、脱水を防ぎながら無理のない食事へ切り替えることです。気になる症状が続く場合や、子犬や高齢犬、持病のある犬では早めの受診が安心です。

まず知っておきたい5つのポイント

1 下痢の主なきっかけを整理する

突然の下痢は、食べ慣れないおやつや人の食べ物、急なフードの切り替え、拾い食い、旅行や来客などのストレスが引き金になることが多いです。寄生虫やウイルス、細菌などの感染症や薬の影響が関わることもあります。思い当たる出来事を時系列で書き出すと、動物病院での説明がスムーズになり、必要な検査や治療の判断がしやすくなります。

2 便のようすを客観的に記録する

色や形、におい、粘液の有無、血が混じるかどうか、排便回数や量を観察して、短いメモと写真を残しておきます。体温計やデジタルスケールがあれば、体重の変化や体温も控えると役立ちます。便の酸性やアルカリ性を示す試験紙を使う場合は、結果だけで自己判断せず、あくまで動物病院での相談材料として活用します。

3 食事と水分補給をやさしく立て直す

消化にやさしい低脂肪メニューへ一時的に切り替える

嘔吐が落ち着いていて軽い下痢だけの場合は、少量を回数多く与える方法にすると胃腸の負担を減らせます。白身魚や鶏むね肉と白米のような消化しやすい組み合わせや、動物病院で扱う消化器ケア用フードが有効です。数日かけて便が整ってきたら、ふだんの食事へゆっくり戻します。長期間の自家製メニューは栄養が偏りやすいので注意が必要です。

こまめな補水で脱水を予防する

一度にたくさん飲むと吐き気を誘発することがあります。常温の水を少量ずつ、こまめに与えます。無塩のチキンスープや市販の犬用経口補水液を使うと飲みやすくなります。子犬や高齢犬、体が小さい犬では脱水が早く進むことがあるため、少しでもぐったりしている様子があれば受診を優先します。

元のフードへ戻す手順をていねいに進める

便が形を取り戻してきたら、消化ケア食といつものフードを数日に分けて混ぜ替えていきます。急に全量を切り替えると再び便がゆるむことがあるため、様子を見ながら段階的に割合を調整します。

4 自宅での安静サポートを整える

室内は温度23〜25度、湿度50パーセント前後を目安に整えます。トイレにすぐ行ける動線を確保し、体を冷やさない寝床を用意します。腹部を温めると腸の動きが落ち着くことがあり、湯たんぽをタオルで包んで短時間当てるなどの簡単な温め方が役立ちます。激しい運動は控え、排便や飲水の回数を静かに観察します。

5 受診の目安と再発予防の考え方

水のような便が続く、嘔吐や発熱を伴う、血が混じる、元気や食欲が明らかに落ちる、このようなときは早めの受診が安心です。子犬やシニア犬、持病がある犬、誤食の可能性がある場合は迷わず相談します。再発を防ぐには、フードの切り替えは数日かけてゆっくり行い、拾い食いを避け、寄生虫の予防と定期的な便検査を続けます。抗菌薬は必要な場合に限って獣医師の指示で使います。