ダイエットの犬

犬のダイエットで健康寿命をのばす 実践的ロードマップ

全国調査では成犬の過体重や肥満が増えています。余分な脂肪は心臓や関節、ホルモンのはたらきに負担をかけ、生活の質を下げます。研究では、若いころから適正体重を保った犬は慢性疾患の発症が遅れ、寿命が長くなる傾向が示されています。目指すのは筋肉を残して脂肪を落とす計画的な減量です。このページでは今日から取り組める方法を5つの柱で整理しました。

ダイエット成功を導く5つの柱

1 肥満が招くリスクをきちんと理解する

心肺への負担が日常の動きを重くする

体脂肪が増えると血液を送る力と呼吸の仕事量が増え、短い散歩でも息切れや咳が出やすくなります。短頭種や持病がある犬では体温調整が難しく、軽い運動でも疲れやすくなります。体重の増加は見た目以上に体内の負担を高めます。

関節と代謝の不調が積み重なる

体重が重いほど膝や股関節にかかる力が増え、軟骨へのダメージが進みやすくなります。同時に脂肪細胞から出る物質が炎症を長引かせ、血糖のコントロールも乱れがちになります。痛みやだるさが行動量を下げ、さらに太りやすくなる悪循環を断つことが大切です。

2 適正体重とボディラインを毎月チェックする

BCSで見た目と触った感覚を数値に置き換える

ボディコンディションスコアは肋骨の触りやすさや腰のくびれを9段階で評価する指標です。理想は4または5です。月に1回は記録し、体重とあわせてグラフ化すると小さな変化にも気づけます。見た目だけで判断せず、写真とメモで経過を残します。

筋肉量を守るとリバウンドを防ぎやすくなる

胸囲や腹囲をメジャーで定期的に測り、体重だけが減ってサイズが大きく変わらないかを確認します。筋肉の落ち込みが疑われる場合はタンパク質量と運動内容を見直し、軽い坂道歩行やゆっくりとした段差昇降などの自重トレーニングを取り入れます。

3 食事設計は安全なカロリー調整から始める

計算で目安を出し、2週間ごとに微調整する

基礎エネルギー要求量RERは70 × 体重(kg)0.75で求めます。減量期は目標体重のRERを基準に始め、体重とBCSの変化を見ながら2週間ごとに5パーセント程度の幅で調整します。月あたり3〜5パーセントの緩やかな体重減少を目標にし、計量カップではなくキッチンスケールでグラム管理を徹底します。

高タンパク低脂肪高繊維で満足感を高める

タンパク質は体重1kg当たり2.5〜3gを目安にして筋肉の維持を支え、脂質は控えめにします。可溶性繊維を含むフードは満腹感に役立ちます。減量用の療法食やLカルニチン配合フードは、獣医師の指導のもとで活用します。自家製メニューは栄養の偏りに注意し、長期は専門家に相談します。

4 運動と脳刺激で消費を底上げする

早歩き散歩を段階的に延長する

スタートは1日30分を目安にし、2週間ごとに5分ずつ延ばします。関節に負担をかけたくない犬は水中トレッドミルやスイミングのような浮力を活かす運動が向いています。暑い季節は時間帯と路面温度に注意し、無理のない範囲で継続します。

ノーズワークや知育トイで満足度を上げる

ごはんをパズルに入れて探すノーズワークは脳を使うため、同じ量でも満足感が高まりやすくなります。早食いを防ぎ、ストレスによる要求行動の軽減にも役立ちます。遊びながら食べる仕組みを日課にして消費エネルギーを積み上げます。

5 専門家と連携しながら記録と見直しを続ける

3か月ごとに血液検査と状態評価を行う

甲状腺機能低下やクッシング症候群などが隠れていると減量が停滞します。定期検査で代謝や肝腎機能を確認し、必要に応じて治療とプランを並行します。薬を使っている場合は食欲や体重への影響も確認します。

オンライン栄養相談で挫折を予防する

獣医栄養士のオンライン相談を使うと、カロリー計算や食事記録、体重の推移をクラウドで共有できます。行動学の専門家が関わるプランなら盗み食いや要求吠えの改善も同時に進みます。迷ったら一人で抱え込まず早めに相談します。

参考文献

Chiang CF et al. 2022 Prevalence, Risk Factors, and Disease Associations of Canine Overweight and Obesity
犬の過体重と肥満が生活の質や疾患リスクに与える影響を概説した近年の総説で、最新の疫学知見を確認できます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35104633/

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