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犬の熱中症ゼロへ 今日からできる守り方を完全ガイド

犬は汗で体温を下げにくいため、人よりも熱の影響を受けやすいです。外気温が25℃前後でも直射日光や路面の熱、湿度の高さが重なると体温が急上昇します。都市部ではヒートアイランドの影響で室内発症も増えています。本稿はリスクを知る、早く気づく、正しく冷やす、毎日で防ぐ、栄養と水分で底上げするという5本の柱で、今日から実践できる対策をまとめました。

熱中症ゼロをかなえる5つの柱

1 リスクを正しく把握する

気温より路面温度が危険になりやすい

アスファルトは強い日差しで急速に加熱し、気温が26℃でも地表は40℃を超えることがあります。短頭種や黒い被毛の犬、体重が多めの犬は放熱が苦手で、短い散歩でも体温が上がりやすいです。日陰の少ない時間帯や車内待機は避けます。

室内でも起こる見えない熱負荷を疑う

湿度が高い梅雨どきは、室温が28℃前後でも体熱がこもります。留守番中にエアコンが止まる、風が通らない洗面所で過ごす、このような状況での発症例が増えています。温湿度の見える化と停電対策を用意しておくと安心です。

2 早期発見につながる観察ポイント

呼吸の速さと舌の色を合図にする

休んでいるのに呼吸数が1分間に60回を超える、舌が濃い赤から紫色へ変わる、よだれが糸を引く、目が充血する、ふらつく、これらは危険の合図です。該当したら直ちに体温を測りながら冷却を始めます。

温湿度と体の状態を数値で見守る

室温と湿度を常時計測できる機器を設置すると、留守中の変化に早く気づけます。皮膚温や心拍を測るウェアラブル機器は警告通知が役立ちますが、最終判断は目の前の状態と体温で行います。

3 応急処置は適切な冷却で39℃以下を目指す

冷やす部位と手順を覚えておく

首元、わきの下、後脚の付け根を水道水で冷やし、扇風機で気化熱を利用します。氷水は血管が縮んで放熱が落ちるため避け、冷えたペットボトルはタオルで包んで同じ部位に当てます。意識がはっきりしていれば冷却を続けながら動物病院へ向かいます。

飲める場合は少量ずつ電解質を補う

嘔吐がなく自力で飲めるなら犬用の経口補水液を5分おきに小さじ2杯ほど与えます。呼吸が荒くて飲めない、意識がもうろうとしている、けいれんがある、このような場合は誤嚥の危険があるため飲ませず、速やかに受診します。

4 毎日の環境と行動を最適化する

散歩は涼しい時間帯に路面温度を確認する

早朝の5時から7時、または日没後の19時以降が理想です。手のひらを10秒置いて熱さを感じる路面は危険です。土や芝のルートへ切り替え、冷感ベストや首掛けクールリングで体温上昇を抑えます。カートや日陰を活用して負荷を分散します。

室温は26℃前後、湿度は55パーセント前後を目安に整える

エアコンとサーキュレーターで冷気を床面へ循環させます。遮熱カーテン、断熱フィルム、アルミプレートのベッドを組み合わせると、体表温の上昇を抑えやすくなります。留守番時はタイマーと遠隔操作の両方を用意して二重化します。

5 栄養と水分で暑さに負けない体づくりを進める

水分摂取は体重1kg当たり70から100mlを目標にする

ふやかしフードや常温のスープ、無糖のヤギミルクを活用し、自然に飲水量を底上げします。人用のスポーツドリンクは塩分と糖分が過剰になりやすいため与えません。食欲が落ちる時期はエネルギー密度の高い総合栄養食へ一時的に切り替える選択も有効です。

オメガ3脂肪酸とビタミンEで体のストレスを軽くする

サーモンオイルや亜麻仁油に含まれるEPAとDHAは炎症反応を穏やかにし、ビタミンEは細胞膜の酸化を防ぎます。皮膚と被毛のコンディションを支えながら、夏バテの予防にもつながります。サプリは用量を守り、主治医に相談してから始めます。

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参考文献

環境省 熱中症予防情報サイト
暑さ指数WBGTの活用や予防の基本が整理されています。屋外と室内の双方で起こる危険性を理解する上で有用です。

https://www.wbgt.env.go.jp/

Scientific Reports 2020 Heat related illness in UK dogs
英国における犬の熱関連疾患の大規模分析で、発症要因や犬種、環境条件がデータに基づいて示されています。

https://www.nature.com/articles/s41598-020-66015-8

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