
犬にとっての甘い危険
チョコレート
犬に有害な理由
チョコレートが犬にとって有害である主な理由は、テオブロミンとカフェインというアルカロイドが含まれているためです。これらの物質は、犬の代謝系では分解が遅く、体内に長時間残留してしまいます。その結果、中枢神経系や心臓血管系に悪影響を及ぼし、中毒症状を引き起こす可能性があります。
チョコレートは犬にとって有毒であり、摂取したチョコレートの種類や量、犬の体重によっては、重大な医療上の緊急事態を引き起こす可能性があります。(出典:アメリカンケネルクラブ)
テオブロミンの犬への影響
テオブロミンは、チョコレートの主成分であるカカオに含まれる物質で、人間にはほとんど影響がありませんが、犬には強い毒性があります。犬の体内でのテオブロミンの半減期は長く、蓄積しやすいため、中毒症状が出やすくなります。
中枢神経系への影響
テオブロミンは中枢神経系を刺激し、興奮状態を引き起こします。これにより、震えや痙攣、過敏反応などの神経症状が現れることがあります。
心臓血管系への影響
心拍数の増加や不整脈、血圧の上昇など、心臓に負担をかける症状が出ることがあります。重症の場合、心不全を引き起こす可能性もあります。
カフェインの犬への影響
チョコレートにはカフェインも含まれており、テオブロミンと同様に犬の中枢神経系や心臓に悪影響を及ぼします。カフェインの毒性はテオブロミンよりも高く、少量でも中毒症状を引き起こすことがあります。
消化器系への影響
カフェインは胃腸を刺激し、嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。これらの症状は体が有害物質を排出しようとする反応です。
犬がチョコレートを摂取するとどうなるか
摂取直後の症状(0〜2時間以内)
摂取直後には、主に消化器系の症状や興奮状態が現れることが多いです。これらの症状は、体がテオブロミンとカフェインを吸収し始めたことを示しています。
嘔吐と下痢
胃腸が刺激され、嘔吐や下痢が起こることがあります。これは体が有害物質を排出しようとする防御反応です。
興奮状態と落ち着きのなさ
犬が普段よりも活発になり、落ち着きがなくなることがあります。中枢神経系への刺激により、このような行動変化が見られます。
数時間後の症状(2〜12時間後)
テオブロミンとカフェインの吸収が進むと、より深刻な症状が現れます。これらの症状は命に関わる可能性があるため、早急な対応が必要です。
心拍数の増加と不整脈
心臓への負担が増し、心拍数が上昇したり、不整脈が起こることがあります。呼吸が速く浅くなることもあります。
震えや痙攣
中枢神経系への影響により、全身の震えや痙攣が起こることがあります。これらの症状は非常に危険で、早急な治療が必要です。
数日後の症状(24時間以降)
適切な処置が行われない場合、症状が長引くことがあります。テオブロミンの代謝が遅いため、数日間にわたって影響が続く可能性があります。
脱水症状と電解質異常
嘔吐や下痢が続くことで、脱水症状や電解質のバランスが崩れることがあります。これにより、さらなる健康被害が生じる可能性があります。
腎臓や肝臓への負担
有害物質の排出により、腎臓や肝臓に負担がかかることがあります。長期的な機能低下を引き起こす可能性もあります。
どの程度の量が有害か
チョコレートの有害となる量は、種類や犬の体重によって異なります。一般的に、体重1kgあたりテオブロミン約20mgで軽度の症状が現れ、40〜50mgで重篤な症状が出るとされています。ダークチョコレートやベイカーズチョコレートはテオブロミン含有量が高く、危険性が増します。
チョコレートの種類とテオブロミン含有量
チョコレートの種類によってテオブロミンの含有量は大きく異なります。以下は一般的なテオブロミン含有量の目安です。
ダークチョコレート
ダークチョコレートはテオブロミン含有量が高く、約100〜200mg/オンス(約28g)含まれています。少量でも危険性が高いです。
ミルクチョコレート
ミルクチョコレートはテオブロミン含有量が約44〜58mg/オンスと、ダークチョコレートに比べて低いですが、それでも注意が必要です。
ホワイトチョコレート
ホワイトチョコレートはテオブロミン含有量が非常に低く、ほとんど含まれていませんが、高脂肪であるため、消化器系への負担があります。
小型犬と大型犬の違い
小型犬や子犬、老犬は体重が軽く、テオブロミンの影響を受けやすいです。少量のチョコレートでも重篤な症状を引き起こす可能性があります。
小型犬のリスク
体重5kgの小型犬がダークチョコレート50gを摂取すると、重篤な中毒症状を起こすリスクが高まります。これはチョコレートバー1枚程度の量です。
応急処置
犬がチョコレートを摂取してしまった場合、以下の応急処置を行うことが重要です。
獣医師への即時連絡
まずは、かかりつけの獣医師にすぐに連絡します。摂取した量、時間、チョコレートの種類(ダーク、ミルク、ホワイトなど)、犬の様子を詳しく伝え、指示を仰ぎます。
必要な情報の提供
可能であれば、摂取したチョコレートのパッケージや製品情報を用意し、獣医師に伝えます。テオブロミン含有量が分かると、より適切な対応が可能です。
自己判断での処置を避ける
自己判断で吐かせたり、薬を与えたりしないようにします。特にチョコレート中毒の場合、誤った処置は症状を悪化させる可能性があります。
吐かせるリスク
無理に吐かせると、誤嚥や食道の損傷を引き起こすリスクがあります。また、興奮状態の犬を無理に扱うと怪我をする可能性もあります。
自宅での対応
獣医師への連絡後は、犬を安静にさせ、無理な運動や興奮を避けます。水分補給は獣医師の指示に従って行います。
安静にさせる
静かな環境で犬を休ませ、ストレスを最小限に抑えます。過度な刺激は症状を悪化させる可能性があります。
このページの内容に関連して、あなたの愛犬についてもぜひ教えてください。
愛犬のエピソードやアドバイスを共有して、みんなで助け合いましょう。