ニンニク

犬にとっての隠れた脅威

ニンニク

犬に有害な理由

ニンニクは犬にとって有害な食材であり、その主な理由は「有機硫黄化合物」という成分が含まれていることにあります。この成分は、犬の赤血球を破壊し、貧血を引き起こす原因となります。また、ニンニクは玉ねぎと同様にネギ科の植物であり、同じようなリスクを持っています。

ニンニクや他のネギ科の植物(タマネギを含む)にはチオ硫酸塩が含まれており、犬には有毒(出典:アメリカンケネルクラブ

有機硫黄化合物の影響

有機硫黄化合物は、ニンニクの独特な香りや味を生み出す成分であり、人間にとっては健康効果もあります。しかし、犬の体内ではこの成分が赤血球を酸化させ、「ハインツ小体性貧血」という特有の貧血を引き起こします。赤血球が破壊されることで、全身の酸素供給が不足し、様々な臓器に悪影響を及ぼします。

赤血球の酸化とハインツ小体

有機硫黄化合物が犬の体内に入ると、赤血球内のヘモグロビンが酸化し、「ハインツ小体」という異常構造を形成します。これにより、赤血球が脾臓で破壊されやすくなり、貧血が進行します。

酸素供給の低下

赤血球の数が減少すると、体内の酸素運搬能力が低下します。これにより、疲労感や呼吸困難などの症状が現れ、重篤な場合は生命の危機に陥ることもあります。

ネギ科の植物との共通点

ニンニクは玉ねぎ、ネギ、ニラ、ラッキョウなどと同じネギ科の植物です。これらの植物も同様に有機硫黄化合物を含んでおり、犬にとって有害です。したがって、これらの食材も犬に与えるべきではありません。

玉ねぎとの比較

ニンニクの有機硫黄化合物の含有量は玉ねぎよりも高いとされています。そのため、少量のニンニクでも犬にとっては危険となる可能性があります。

犬がニンニクを摂取するとどうなるか

犬がニンニクを摂取した場合、赤血球の破壊が進行し、様々な症状が現れます。以下では、摂取後の時間経過に伴う症状について詳しく説明します。

摂取直後の症状(0〜1時間以内)

摂取直後には、特に目立った症状が現れないことが多いです。しかし、ニンニクの強い刺激により、一部の犬では軽微な症状が見られる場合があります。

口腔内の刺激

ニンニクの辛味や刺激により、口内や喉に違和感を覚えることがあります。これにより、よだれが多く出たり、口元を気にする仕草を見せることがあります。

食欲の低下

ニンニクの味や匂いが犬にとって不快である場合、食欲が低下することがあります。食事を残したり、食べるスピードが遅くなる場合は注意が必要です。

数時間後の症状(1〜12時間後)

摂取から数時間が経過すると、消化器系の症状が現れることがあります。有機硫黄化合物が体内に吸収され始め、赤血球への影響が徐々に現れてきます。

嘔吐や下痢

消化器官が刺激されることで、嘔吐や下痢が起こることがあります。これは体が有害物質を排出しようとする防御反応でもあります。

腹部の不快感

お腹に痛みや不快感を感じることで、落ち着きがなくなったり、うずくまるような姿勢をとることがあります。

数日後の症状(1〜3日以降)

摂取から数日が経過すると、赤血球の破壊が進行し、溶血性貧血の症状が顕著に現れます。これらの症状は緊急性が高く、早急な対応が必要です。

元気消失と食欲不振

全身の酸素供給が不足することで、疲れやすくなり、活動量が減少します。また、食欲も低下し、水を飲む量も減ることがあります。

粘膜の蒼白化

歯茎や舌、結膜(目の内側)が白っぽくなることがあります。これは貧血の典型的な症状であり、酸素不足を示しています。

黄疸の出現

皮膚や目の白目部分が黄色くなることがあります。これは赤血球の破壊によりビリルビンが増加し、肝臓に負担がかかっていることを示しています。

呼吸困難

酸素不足を補うために、呼吸が早く浅くなります。重篤な場合は呼吸困難に陥り、命に関わる危険性があります。

どの程度の量が有害か

犬にとって有害となるニンニクの量は、体重1kgあたり約5gの生ニンニクとされています。つまり、体重10kgの犬であれば、50gの生ニンニクを摂取すると危険な状態になる可能性があります。しかし、個体差や健康状態によっては、これより少ない量でも症状が現れることがあります。

小型犬と大型犬の違い

小型犬や子犬、老犬は体重が軽く、代謝機能も異なるため、少量のニンニクでも影響を受けやすいです。特に小型犬は注意が必要です。

小型犬のリスク

体重が軽いため、摂取したニンニクの量が相対的に多くなります。また、代謝機能が未熟な子犬や、機能が低下している老犬もリスクが高まります。

継続的な摂取の危険性

一度に大量のニンニクを摂取しなくても、少量を継続的に摂取することで有害な影響が蓄積されることがあります。

加工食品への注意

ソーセージやハム、スープなど、ニンニクが含まれている加工食品も存在します。これらを犬に与える際には、成分表示を確認し、ニンニクが含まれていないか注意が必要です。

応急処置

万が一、犬がニンニクを摂取してしまった場合、以下の応急処置を行うことが重要です。迅速な対応が症状の進行を防ぐ鍵となります。

状況の把握と初期対応

まずは冷静になり、犬がどのくらいの量をいつ摂取したのかを確認します。生のニンニクか、調理されたものかも重要な情報となります。

摂取量と時間の確認

可能な限り正確な摂取量と摂取時間を把握します。これは獣医師に伝える際に非常に重要な情報となります。

症状の観察

犬の様子を注意深く観察し、嘔吐、下痢、元気の有無、呼吸状態、粘膜の色などをチェックします。異常が見られた場合はすぐに対応が必要です。

獣医師への連絡

状況を確認したら、速やかにかかりつけの獣医師に連絡します。摂取したニンニクの量、種類、時間、現在の症状を詳しく伝え、指示を仰ぎます。

緊急性の判断

獣医師は提供された情報をもとに、受診の緊急性を判断します。特に貧血の症状が見られる場合は、早急な受診が必要です。

自宅でのケアと注意点

獣医師への連絡後は、犬を安静にさせ、無理な行動を避けます。自己判断で吐かせたり、薬を与えたりしないようにしましょう。

水分補給の重要性

嘔吐や下痢がある場合は、脱水症状を防ぐために少量ずつ新鮮な水を与えます。しかし、一度に大量の水を飲ませると嘔吐を誘発する可能性があるため、注意が必要です。

食事の制限

消化器系が不調な場合、食事を与えない方が安全です。獣医師の指示があるまでは、水以外のものを与えないようにしましょう。

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