食材の緑イ貝

関節も免疫もビタミンもおまかせ

緑イ貝

緑イ貝は、ニュージーランド原産の独特な二枚貝で、その豊富な栄養成分が人間のみならず犬の健康にも寄与する可能性が注目されています。なかでもグリコーサミノグリカン類やオメガ-3脂肪酸、良質なタンパク質、ミネラル、ビタミン類などが集約されており、これらが複合的に作用することで、関節の柔軟性を維持したり被毛の艶と潤いを保ったり、さらには免疫応答を健全な状態へ導くなど、多面的な恩恵を与えると期待されています。けれども、過剰な量や適切でない調理法はリスクを伴います。ここでは、緑イ貝の特性や与えるべき犬のタイプ、そして安全に活用するための具体的なポイントまで、科学的知見を交えながら詳しくわかりやすく解説していきます。

緑イ貝(ニュージーランド産のグリーンリップ貝)の臨床研究では、関節炎の犬に緑イ貝を適切な期間経口投与することで、関節の痛みや炎症が軽減され、運動能力も向上したことが示されています。グルコサミンとコンドロイチンに加えれば、緑イ貝は犬の変形性関節症をターゲットにした総合的で安全なサプリメントとなり、犬の生活の質を向上させます。(出典:The American Kennel Club

栄養素

この貝には、関節や骨格、皮膚、被毛、そして全身の活力を支える多彩な栄養が詰まっています。これらの栄養素が複合的に働きかけることで、日々の暮らしの中で犬が健やかに動き回り、美しい毛並みを維持し、免疫面でも内側から安定した状態を得ることが目指せます。

オメガ-3脂肪酸

関節と心血管系への影響

緑イ貝には、DHAやEPAをはじめとするオメガ-3脂肪酸が多く含有されています。これらは炎症を和らげ、関節のこわばりや痛みを軽減する作用が期待されます。加えて血流を改善し、心臓や血管の健康維持に貢献することで、犬が長期にわたり活力を保ち続ける基礎を築きます。

皮膚と被毛のサポート

オメガ-3脂肪酸は皮膚を内側から潤し、被毛の艶と柔軟性を引き出します。乾燥によるフケや抜け毛、かゆみを抑えることで、犬が快適に過ごせるようになるかもしれません。皮膚環境が整えば外的刺激にも対処しやすくなり、肌トラブルを最小限に抑えることが可能になります。

グリコーサミノグリカン類

軟骨や関節構造の維持

緑イ貝特有の成分として注目されるグリコーサミノグリカンは、軟骨の弾力性や関節の滑らかな動きを後押しします。成長期や加齢による関節の負担増、肥満などが原因で生じる違和感を緩和し、犬がスムーズな動作を行えるようにサポートします。

関節炎の緩和への期待

この成分が軟骨組織を保護・補強することで、炎症による痛みや関節炎の進行を遅らせる可能性が指摘されています。特にシニア犬や大型犬で関節負担が深刻化しやすいケースで恩恵を感じやすいと考えられます。

タンパク質、ミネラル、ビタミン類

免疫力と代謝の向上

良質なタンパク質は筋肉や内臓、皮膚など、犬の体を構成する基盤を支えます。さらに亜鉛や鉄、セレンなどのミネラルは免疫細胞の機能を補助し、ビタミン群が代謝を促すことで、摂取した栄養を最大限に活用できる状態を築きます。これらの相乗効果が結果的に体調安定や疲労軽減につながるでしょう。

骨格形成とエネルギー生成

カルシウムやマグネシウムなども含まれ、これが骨や歯の健康を裏打ちします。エネルギー生成を円滑にする微量ビタミンも、日々の活動をサポートします。散歩や運動が苦にならず、軽快な動きが長続きし、犬が生涯にわたり生き生きと過ごせるような土壌を作り出します。

緑イ貝の栄養素と愛犬に必要な1日の栄養素との比較

愛犬に与えたい緑イ貝の量(g)と愛犬の体重(kg)を入力する事で栄養素を比較できます。(AAFCOおよびNRCのガイドラインに基づく)。

緑イ貝の与える量の目安(グラム)

  • 小型犬(5kg以下): 1日に約5〜10g
  • 中型犬(5〜20kg): 1日に約10〜20g
  • 大型犬(20kg以上): 1日に約20〜30g

ご注意ください

生の食材を使った犬の手作りごはんでは、すべての必須栄養素を十分に補うのはとても難しいです。犬の健康を維持するためには、肉、野菜、穀物、脂肪など様々な食材がバランスよく必要ですが、家庭でこれらを適切に組み合わせるのは簡単ではありません。栄養バランスが崩れると、栄養不足や健康問題を引き起こす可能性があります。そこで、ドッグフードに対して生の食材を追加する方法をおすすめします。特にカルシウムやリン、ビタミン、ミネラルの過不足は犬の健康に大きな影響を与えるため、必要に応じてサプリメントを使用することも検討してください。犬に手作りごはんを与える際は、必ず獣医師に相談し、栄養バランスを確認することをおすすめします。

また、実際に飼い主が作る手作り食の栄養バランスについての調査では、多くのレシピにおいてカルシウム、銅、亜鉛、ヨウ素、ビタミンA、ビタミンDなどが不足していることが明らかになっています。
AAFCO養分基準(2016)と比較した結果、これらの栄養素が欠けているケースが多く見られ、長期的な給餌による犬の健康への影響が懸念されます。

(出典: 日本ペット栄養学会誌

上記の表はAAFCO Annual Meetingを元に作成(出典:AAFCO Annual Meeting August 4th 2015, 10am-12pm; Denver, CO

食べていただきたい犬

緑イ貝は、全ての犬に必須ではありませんが、特定の悩みや状況を抱える場合に有力な選択肢となり得ます。関節のケアが必要なシニア犬、皮膚トラブルが絶えない犬、運動不足や代謝低下に悩む犬、そして栄養バランスをもう一段高めたいと考える飼い主にとって、この天然素材は有益な一手となります。

関節ケアが必要な犬

高齢犬や大型犬

年齢を重ねた犬は関節の摩耗が進みやすく、大型犬は体重負荷による関節ダメージが蓄積しやすい傾向があります。緑イ貝の有効成分が軟骨をサポートし、関節のこわばりを和らげることで、安定した動作や散歩をより楽しめる状況が期待されます。

運動後の回復補助

活発な犬やアジリティなどのスポーツを嗜む犬では、激しい運動で関節に負担がかかります。緑イ貝の成分がこれらのダメージ回復を助け、次の運動までに疲労を軽減し、パフォーマンスを維持します。

皮膚・被毛トラブルを抱える犬

乾燥肌やかゆみ

季節の変わり目やアレルギー要因で皮膚が荒れやすい場合、オメガ-3脂肪酸の補給は肌環境を改善する一助となります。これにより、犬自身が身体を掻きむしる回数が減り、皮膚が落ち着き、快適な日常を取り戻せます。

被毛の質低下

毛艶が失われ、ぱさつきや抜け毛が目立つ場合に緑イ貝を少量ずつ取り入れることで、被毛の質が回復するかもしれません。内側から健やかな状態へ導くことで、手触りや見た目が一新される可能性があります。

注意点

アレルギー反応

まれに、アレルギー反応を示す犬もいます。初めて与える場合は、少量から始めてアレルギー反応を観察してください。

食事のバランス

栄養が豊富ですが、それだけで犬の食事全体を賄うことはできません。バランスの良い食事の一部として与え、他の必要な栄養素も考慮に入れてください。

適切な量

栄養が非常に豊富なため、過剰摂取は犬にとって有害になる可能性があります。適切な量を把握し、犬の体重や活動量に応じて調整してください。

このページの内容に関連して、あなたの愛犬についてもぜひ教えてください。
愛犬のエピソードやアドバイスを共有して、みんなで助け合いましょう。

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です