歯周病サインを見極める重要性
犬の歯周病は進行が速く、痛みを隠す本能があるため気付きにくい病気です。口臭が強くなる、歯ぐきが赤く腫れる、食べ方が変わるといった小さな変化は体からの助けを求める合図で、放置すると歯を支える骨が溶ける段階まで進むことがあります。毎日のスキンシップに口まわりの観察を組み込むだけで、治療の負担を減らし、全身の健康リスクも下げられます。
口臭の変化は最初の警報
ニオイの質が変わるしくみ
通常の口臭は食べ物の匂いが中心ですが、歯周病菌が増えるとタンパク質を分解して揮発性硫黄化合物という刺激臭を生み出します。起床時や空腹時でもないのに腐敗臭のような強いニオイが続くときは、歯垢が厚く積もり細菌が活発化している可能性が高いです。
毎日嗅ぎ分ける観察ポイント
抱っこや遊びのついでに鼻先を口元へ近づけ、前日との違いを確かめる習慣をつけます。突然の悪臭は歯石の下で感染が広がったサインになりやすく、短期間で歯肉炎が悪化する前触れとして重要です。
歯ぐきの腫れと色の変化
炎症が進むと色はどう変わるか
健康な歯ぐきは淡いピンク色でつやがあります。炎症が始まると赤みが強まり、進行すると暗赤色に近づき、縁が丸く厚く見えます。赤い部分の境界がはっきりしているほど細菌の勢いが強いと考えられます。
触れたときの感触と出血の意味
指先で軽く押して柔らかい感触があり、少しの刺激で出血する場合は、歯周ポケット内で血管が露出しているサインです。正常であれば押してもすぐに色が戻りますが、炎症があると回復が遅れます。この簡単な圧迫テストで進行度の目安をつかめます。
食べ方や行動の変化が示す痛み
片側だけで噛む仕草が教えること
一方向の歯だけで噛む、飲み込むまで時間がかかるなどの行動は、反対側に痛みがある可能性を示します。痛む側を避けると汚れが溜まりやすく、炎症がさらに進む悪循環が起きます。
食欲低下や体重減少につながる流れ
痛みが強くなると食事自体が負担になり、好物の拒否が見られます。摂取量の減少は代謝と免疫の低下を招き、別の感染症にもかかりやすくなります。
よだれと顔周りの違和感
唾液が増える背景
強い炎症は神経を刺激し、唾液腺の分泌を増やします。口角から糸を引くようによだれが出る場合は、歯周ポケット内で細菌の毒素が産生されている可能性があり、早めの受診が必要です。
顔を触られるのを嫌がる理由
炎症が歯根まで及ぶと顎骨や顔面神経が敏感になり、頬や鼻先に触れただけでも痛みが出ます。撫でられるのを好んでいた犬が顔を背けるようになったら、内部に膿が溜まっている恐れがあるため受診の合図と考えましょう。
毎日のチェックを習慣にする工夫
スキンシップに自然に組み込む方法
ブラッシングや耳掃除と同じタイミングで口元の観察を行うと、犬が流れを覚えて抵抗が減ります。口に触れた直後にご褒美を与えることを繰り返し、口を開ける行為を前向きな体験へ変えます。
チェックリストで記録する利点
口臭の強さ、歯ぐきの色、食べ方の変化を短いメモで残すと、微妙な違いを客観的に比較できます。月ごとの写真を並べると色の変化や歯石の量が一目で分かり、診察時の説明もスムーズになります。






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