涙やけは毎日の拭き取りと原因の見極めで改善します
涙やけは多くの場合で清潔と乾燥の徹底で薄くなります。色の主な正体はポルフィリンという色素で、涙が毛に触れて時間が経つほど定着します。黄緑の目やにや強い充血や痛がる様子があるときは感染や角膜の傷などが隠れている可能性があるため、動物病院での診察が必要です。
すぐに始められる対処は、目元をやさしく拭いて完全に乾かすこと、毛を短く整えること、室内の温度と湿度を整えることです。根本原因が鼻涙管の詰まりやまつ毛の異常生え、アレルギーなどにある場合は、獣医師の評価にもとづき点眼や洗浄や処置を組み合わせると改善が早まります。
そもそも涙やけって何 原因もケアのコツもこれで丸わかり
涙やけは、あふれた涙が頬の毛に残り、赤茶色に見える状態です。色はポルフィリンという鉄と結びつく性質のある色素に由来します。白い被毛や目が大きい犬は特に目立ちやすく、見た目の悩みだけでなく体調変化のサインとしても役立ちます。
見た目だけでは終わらない 二次トラブルを早めに防ぐ
変色した毛は乾燥とダメージで切れやすくなります。湿り気が続くと皮膚がふやけ、細菌や酵母菌が増えて赤みやかゆみの原因になります。目の周りは皮膚が薄く敏感なので、日々の小さなケアの積み重ねが大切です。
毛を守るデイリーケア
ぬるま湯で湿らせたコットンで目頭から外へ向かってやさしく拭き、ドライヤーの弱風や冷風でしっかり乾かします。保湿剤を薄く塗ると毛が擦れにくくなり、色素の定着も抑えやすくなります。
湿り気が呼ぶ皮膚炎を防ぐポイント
皮膚が赤くなったら早めに受診します。抗菌成分を含むアイウォッシュでの洗浄や、炎症を抑える点眼を短期間使って湿潤環境をリセットする方法が一般的です。過酸化水素を含む漂白目的の製品は目に入ると危険なので避けます。
涙やけは体からのサインかも 気づきたい変化
涙の量が急に増えたときは、アレルギーや鼻涙管の詰まり、まつ毛の異常生え、角膜の傷や結膜炎が関わることがあります。目が赤い、かゆがる、まぶしそうにする、目やにが黄緑色になるなどの変化があれば受診のタイミングです。
アレルギーが関わる場合
花粉やハウスダスト、特定の食材が刺激になると涙が増えます。血液検査や問診で原因候補を絞り、除去食や環境管理、点眼でコントロールします。季節で悪化が繰り返されるときはアレルギー性結膜炎の可能性を考えます。
目のトラブルが原因の場合
角膜の傷や結膜炎は痛みを伴い、瞬きが増えて涙があふれます。点眼で炎症を抑え、こすらないようエリザベスカラーという保護具で守ることがすすめられます。異常な向きに生えたまつ毛や瞼の内反が疑われるときは処置で改善します。
年齢に合わせた傾向と対策
子犬期のポイント 成長途中の目元はとてもデリケート
やわらかい毛が目に入りやすく、涙がたまりやすい時期です。毎日のやさしい拭き取りと、短時間のブラッシングで清潔を保ちます。栄養バランスの整った子犬用フードは被毛の健康にもつながります。授乳後や食後は涙が増えやすいので、その都度拭くと色素の定着を防げます。目元の毛はトリマーに相談して短めに整えるとケアが楽になります。
成犬期のポイント 活動量が増えると外の刺激も増える
散歩や外遊びで花粉やほこりに触れる機会が増え、いったん落ち着いた涙やけが再燃することがあります。帰宅後に濡れタオルで目元を拭き、室内では空気清浄機でアレルゲンを減らします。ブルドッグやパグやプードルなど、目が大きく鼻が短い犬は涙がこぼれやすいので、月に一度のトリミングと週数回のブラッシングで毛を短く保つと滞留を防ぎやすくなります。
老犬期のポイント 排出機能の変化に注意
加齢で鼻涙管が細くなり、涙があふれやすくなります。ドライアイや視力の低下が隠れていることもあるため、半年に一度の目の健康診断が安心です。保湿成分入りのアイローションで乾燥を防ぎ、寝床や顔周りを清潔に保って細菌の増殖を抑えます。
セルフチェックで早めに気づくコツ
シミの色から分かる手がかり
茶色いシミがゆっくり付く程度なら、環境や食事の影響が軽く関わる場合が多いです。短期間で赤褐色が濃くなるときや、においが強いとき、皮膚がただれるときは、感染や涙の滞留が疑われます。色と進み方に注目すると判断の助けになります。
目やにと充血と湿り気は要注意
黄緑色の目やにが続くときは細菌感染の可能性が高く、受診が必要です。強い充血やまぶしがる様子、こすろうとする行動があるときは早めの治療が大切です。湿った毛は雑菌の温床になるため、毎日の拭き取りと完全な乾燥を徹底します。
皮膚が赤くなったときの一歩
涙に含まれる成分が皮膚を刺激して炎症につながることがあります。低刺激のシャンプーで洗浄し、保湿クリームでバリア機能を補うと回復が早まります。悪化や再発を繰り返すときは、隠れた原因を探すために診察を受けます。
原因別の対処 根本から整える考え方
目の構造が関係する場合
目が突出気味だったり、瞼や鼻のしわが涙を毛に引き込んだりすると、涙がこぼれやすくなります。鼻涙管の洗浄で通りを確認したり、必要に応じて外科的な矯正が検討されます。処置の要否は専門の検査で判断します。
被毛が触れる場合
目の周りの毛が長いと涙が滞留します。定期的なトリミングで毛先を短く保ち、ブラシで根元の汚れを浮かせてから乾かすと、シミの定着を予防できます。丸い先のハサミやグルーマーの手を借りると安全です。
アレルギーや感染が疑われる場合
血液検査や問診で原因候補を絞り、除去食や環境管理、点眼で整えます。抗菌アイウォッシュは涙やけ予防に役立ちますが、自己判断で抗菌薬を飲ませることは避けます。市販のケア用品は成分を確認し、香料や精油を含む場合は目に入れないよう注意します。
食事が関与する場合
食物アレルギーが関わると涙が増えることがあります。動物病院で指示されたタンパク源を限定した食事に切り替える方法は有効です。ビタミンAとビタミンEとオメガ3脂肪酸を含む食材は目の粘膜の健康を支えます。結果が出るまで時間がかかることもあるため、記録を取りながら数週間単位で評価します。
毎日続けられるホームケア
目元を清潔に保つ
ぬるま湯で湿らせたコットンで目頭から外へ向かって拭き、洗浄液を使う場合は使用前にパッチテストで刺激の有無を確認します。洗ったあとは必ず乾いたガーゼで水分を取り、ドライヤーの冷風で仕上げます。コンタクトレンズ用の洗浄液は目の表面に有害な成分を含むことがあるため使いません。
保湿で皮膚バリアを守る
乾燥はかゆみにつながります。ヒアルロン酸などの保湿ジェルを薄く塗り、完全に乾かしてから生活させると、こすれの刺激を減らせます。塗りすぎはべたつきの原因になるため控えめに使います。
最新ケア用品の活用
2025年現在、獣医師が推奨する抗菌アイウォッシュや低刺激のクリーナーが入手しやすくなっています。目に入る製品は必ず動物用を選び、説明に沿って使います。漂白を目的とした強い薬剤は避け、安全性を優先します。
定期健診で早期に見つける
半年に一度の目の健診で鼻涙管の詰まりやドライアイを早期に見つけられます。シニア犬は全身の病気と関わることもあるため、体調の聞き取りと合わせて診てもらうと安心です。
愛犬が快適に過ごせる環境づくり
室内をこまめに掃除し、花粉の多い時期は窓を閉めて空気清浄機を使います。温度は20〜25度、湿度は45〜60%を目安に保つと、乾燥による刺激や雑菌の増殖を抑えやすくなります。寝床や顔が触れるタオルは清潔に保ち、湿ったままにしないことが予防につながります。
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参考文献
涙やけの色がポルフィリンに由来すること、過酸化水素などの強い薬剤を避けるべきこと、日常ケアの基本について分かりやすく解説しています。
涙があふれる症状であるエピフォーラの仕組みと、涙が通常は鼻涙管へ排出されること、原因となる代表的な状態について説明しています。
鼻涙管の解剖と疾患、洗浄で通過性を確認する検査の要点など、構造面からの背景がまとまっています。
Merck Veterinary Manual Nasolacrimal and Lacrimal Apparatus in Animals
アレルギー性結膜炎が犬でよくみられること、清拭や洗眼などの基本的なケア手順の推奨が示されています。
American College of Veterinary Ophthalmologists Pets and Allergies /
ACVO How to Clean Your Pet’s Eyes
黄緑色の目やにが感染のサインであることなど、受診の目安となるポイントが簡潔に整理されています。
PetMD 5 Types of Dog Eye Discharge and When To Go to the Vet


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