獣医師とフレンチブルドッグ

犬の膀胱炎を正しく理解し、快適な暮らしをサポートする方法

犬の膀胱炎は、膀胱の内側に炎症が起きて排尿時の痛みや血尿などを招く病気です。原因の多くは細菌ですが、尿路結石や体力低下が重なると悪化しやすく、放置すると腎臓に波及するおそれがあります。この記事では、見逃したくないサイン、診断と治療の流れ、家庭でできる再発予防までを、専門用語をわかりやすく言い換えてまとめました。

膀胱炎の基本をつかむ

膀胱炎は、尿道から侵入した細菌が膀胱内で増えることで起こりやすくなります。メス犬は尿道が短く細菌が届きやすいため注意が必要で、体力や免疫の落ち込み、長時間の排尿我慢、尿路結石などが重なると炎症が長引くことがあります。細菌が作る毒素やアルカリに傾いた尿が膀胱の壁を刺激し、痛みや血尿へとつながります。

変化に気づくためのサイン

排尿の回数が増えるのに量が少ない、何度もトイレに向かうのに少ししか出ない、排尿時に痛そうに体を小さくする、赤みが混じる、強いにおいがする、排尿姿勢だけで尿が出にくいなどの変化が続くなら膀胱炎の可能性があります。尿がまったく出ない場合は別の緊急疾患も考えられるため、時間を空けずに受診してください。

原因をおさえて再発を減らす

細菌感染は、汚れた排泄スペースや排尿の我慢で起こりやすくなります。尿路結石は、尿の酸性とアルカリ性のバランスやミネラルの偏りが続くとできやすく、結晶や結石が膀胱の壁をこすって炎症を助長します。高齢やストレスで体の守る力が落ちると、細菌に対する抵抗が弱まり、症状がぶり返しやすくなります。

清潔と排尿リズムを整える

トイレシートや砂は汚れたらすぐに交換し、寝床も定期的に洗って清潔を保ちます。散歩や室内トイレを上手に使って排尿の回数を確保すると、細菌を体の外へ流しやすくなります。旅行や留守番など生活が変わる日は、いつもよりこまめに排尿のタイミングを作ると安心です。

結石を作らせない毎日の工夫

結石の種類によって対策は異なりますが、尿を薄めることは共通して役立ちます。水分をしっかり摂らせると膀胱内の結晶が流れやすくなり、結石の刺激も減ります。療法食や結石対応フードの選択は自己判断を避け、尿検査の結果に合わせて獣医師の指示で行いましょう。

診断と治療の流れ

診断では、まず尿検査で炎症や血液の混入、細菌の有無を調べます。必要に応じて培養検査で原因菌と薬の効きやすさを確認し、結石や腫瘍が疑われる場合は超音波などの画像検査を追加します。採尿は清潔に採ることが大切で、状況により膀胱に細い針を刺して採る方法を用いることがあります。これは痛みが最小限で、汚染の少ない正確な検査ができる方法です。

治療の考え方

細菌性の膀胱炎では抗菌薬を用います。近年は、健康な犬に初めて起きた単純性の膀胱炎では、適切な薬を短期間で使う方が良いとされ、数日からおよそ一週間未満の投与で十分な場合があります。再発を繰り返すケースや腎盂腎炎、前立腺炎など上部の感染が疑われる場合は、検査結果に基づいて薬の種類や期間を調整します。痛みが強い時は消炎鎮痛薬でつらさを和らげ、結石が関わる時は療法食で溶解を狙うか、サイズが大きい場合は手術で取り除くこともあります。

薬の副作用と観察ポイント

抗菌薬や鎮痛薬の投与中に吐き気や食欲不振、下痢、眠気などが見られる犬もいます。体調に変化があれば自己判断で中断せず、早めに動物病院へ連絡して指示を受けてください。薬は処方どおりの回数と日数を守ることが、ぶり返しや耐性菌の予防につながります。

家庭でできる再発予防

水分補給はとても重要です。健康な成犬の目安は体重一キログラムあたり一日四十から六十ミリリットルで、運動量や気温で増減します。飲水量が少ない場合は、いつでも飲めるように複数の場所に新鮮な水を置き、ウェットフードや手作りのスープで水分を上乗せします。遊びや散歩で体を動かすと血流が良くなり、ストレス発散にも役立ちます。排泄スペースは清潔を保ち、排尿を我慢させない生活リズムを整えましょう。

家庭でのチェックのコツ

尿の色、量、においを普段から観察し、赤みや濁り、強いにおいが続く場合は早めに受診します。トイレに長くしゃがむのに少ししか出ない、何度も行くのに出にくいといった行動も手がかりです。体調や排尿の変化をメモしておくと、診察時に伝えやすく、治療の判断がスムーズになります。

よくある質問

どんな症状が多いか

頻回の排尿、少量しか出ない、排尿時の痛み、赤みのある尿、強いにおい、排尿の姿勢だけで出にくいなどが代表的です。元気や食欲が落ちることもあります。

繰り返すのはなぜか

結石や解剖学的な要因、内分泌の病気、清潔を保ちにくい生活環境、体力や免疫の低下、合わない薬の選択などが背景にあることがあります。半年で二回以上、または一年で三回以上を目安に再発と考え、原因の見直しと対策を進めます。

家でできる予防はあるか

清潔な排泄スペースの維持、十分な飲水、バランスの良い食事、適度な運動、排尿の我慢を避ける生活リズムづくりが基本です。サプリメントは効果に個体差があり、薬と併用するときは必ず獣医師に相談してください。

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参考文献

MSD Veterinary Manual Bacterial Cystitis in Small Animals

短期間の抗菌薬治療や培養検査の重要性など、小動物の膀胱炎治療に関する最新の要点を整理した総説です。

ISCAID ガイドライン 犬と猫の細菌性尿路感染症の診断と管理 Vet J 2019

抗菌薬の選択と推奨投与期間、再発時の評価など、臨床での判断基準を示した国際ガイドラインです。

Clinician’s Brief Lower Urinary Tract Infections From Diagnosis to Treatment

初発の単純性膀胱炎における第一選択薬と短期投与の考え方、再発時の対応を臨床家向けに解説しています。

Cornell University Riney Canine Health Center Urinary Tract Infections

再発の定義や飼い主が気づきやすい症状など、一般向けに整理された解説です。

Cornell University Polyuria and Polydipsia in Dogs

犬の一日の飲水量の目安として、体重一キログラムあたり四十から六十ミリリットルという範囲を示しています。

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