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犬の認知症が気になるとき、毎日のふれあいと記録で変化に早く気づく

犬の認知症が気になるとき、毎日のふれあいと記録で変化に早く気づく。

大きな対策よりも先に効いてくるのは、毎日のふれあいと短い記録です。行動の変化はゆっくり進むことが多く、気づいた時には暮らしのストレスが増えていることもあります。今日の様子を言葉で残しておくと、迷いと不安が少し減り、相談のタイミングもつかみやすくなります。

迷いを減らす合言葉は、見守りログです。

ここで大事にしたい考え方を、見守りログと呼びます。見守りログは、愛犬の様子を細かく分析するものではありません。いつも通りの暮らしの中で、変化の兆しだけを拾い、必要なときに動物病院へつなげるための小さな道具です。

犬の認知症は、獣医師の現場では認知機能不全症候群(脳のはたらきが年齢とともに落ちて、行動が変わる状態)と呼ばれます。ゆっくり進むぶん、家族は慣れてしまいがちです。だからこそ、短い言葉で残す習慣が、やさしいブレーキになります。

ふれあいは観察のためではなく、安心のために置きます。

朝夕に声をかけ、目線を合わせて触れる時間をつくります。長い時間でなくて大丈夫です。声の温度と手の触れ方が安定しているだけで、落ち着きやすくなる子もいます。

夜に廊下を行ったり来たりして、同じ場所で立ち止まる。そんな場面が出てきたときは、叱るより先に、静かに近づいて名前を呼び、胸のあたりをゆっくり撫でてみてください。安心の合図が通ると、迷いがほどけることがあります。うまくいかない日もありますが、積み重ねで意味が出てきます。

目に入る変化は、行動より先に体の不調のこともあります。

歩く速さが落ちた、寝つきが悪い、夜に落ち着かない。こうした変化は、認知の問題だけでなく、痛みや内臓の不調や視力の低下などが混ざっている場合があります。特に、急に様子が変わったときは、早めの受診が安心につながります。

迷いが強い日が続く、食べる量が急に減る、転びやすい、触ると嫌がる、呼吸がいつもと違う。こうした変化が重なるときは、記録を持って動物病院に相談すると話が早く進みます。

短い言葉で残すと、家族の会話が整ってきます。

見守りログは、文章を上手に書く必要がありません。同じ言葉を毎回使うことがコツです。起きる時間、食事の量、歩く速さ、夜の様子を、短い言葉で残します。気になった日だけでなく、普通の日も残すと、比較の軸ができます。

記録を続けていると、良い日と不安定な日の違いが見えてきます。たとえば、来客があった日だけ夜が落ち着かない。雨の日だけ寝る時間がずれる。こうした傾向が見えると、暮らし側で調整できる部分が見つかります。

動画は説明の代わりになります。

歩き方や立ち止まり方は、言葉だけでは伝えにくいことがあります。短い動画を残しておくと、相談が一段スムーズになります。撮る目的は診断ではなく、変化の共有です。撮影は無理に続けず、必要なときだけで十分です。

視点を切り替えると、いちばん守るべきものが見えてきます。

ここで一度、犬の変化から家族の暮らしへ目線を移します。見守りが続くと、気づかないうちに家族の疲れがたまります。夜に起こされる日が増えると、判断力も落ちます。愛犬のための工夫が、家族の心を削ってしまうと、続けること自体が難しくなります。

ひとりで抱え込まないために、役割を分けます。散歩を担当する人、夜の見守りを担当する人、記録を担当する人。全部を完璧に回すより、続く形に変えることが大切です。ペットシッターや家族の協力を使うのは、弱さではありません。長く一緒にいるための設計です。

相談のしかたは、問いを小さくすると楽になります。

動物病院に相談するときは、病名を決めに行くより、困っている場面を持っていくほうが進みやすいです。夜の落ち着かなさが増えている。トイレの失敗が増えた。呼びかけの反応が変わった。こうした具体があると、体の検査や生活の調整を検討しやすくなります。

認知の変化は、DISHAA(迷い、関わり方、睡眠、トイレ、活動、不安といった項目で見立てる考え方です)という枠組みで整理されることがあります。家族のメモが、この整理にそのまま役立つこともあります。

できるだけ早く気づくことは、焦ることとは違います。

早めの対応は、過剰な心配とは別の話です。暮らしの手当ては、早いほど小さくて済みます。逆に、我慢で先延ばしにすると、犬も家族も消耗しやすくなります。

日々の工夫が、愛犬の時間をやさしく伸ばす可能性があります。次の言葉は、その方向を静かに示しています。

“Early intervention with environmental enrichment, diet and medical management can improve the quality of life for dogs affected by CDS.”

出典 Cornell University College of Veterinary Medicine, Cognitive dysfunction syndrome.

できることは、いつでも同じではありません。今日は声をかけるだけ。明日は記録をひと言だけ。そうやって暮らしに置ける範囲で続けるのが、見守りログの良さです。

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愛犬の無駄吠えを穏やかに減らしたいときに読みたい記事

参考文献と確認に役立つ情報です。

Cornell University College of Veterinary Medicine, Senior dog dementia.

高齢犬の変化がゆっくり進むことや、家庭での工夫、症状の追いかけ方の考え方を確認できます。

AAHA, Managing Cognitive Dysfunction and Behavioral Anxiety.

高齢犬の認知の変化と不安行動の捉え方や、早期の気づきの重要性、質問票でのモニタリングの考え方がまとまっています。

PubMed, The Canine Cognitive Dysfunction Syndrome Working Group guidelines for diagnosis and monitoring of canine cognitive dysfunction syndrome.

診断とモニタリングの考え方を整理したガイドラインの要旨を確認できます。

Frontiers in Veterinary Science, Comparing standard screening questionnaires of canine behavior for assessment of cognitive dysfunction.

認知の変化を把握する質問票の違いが、評価に影響することを学術的に確認できます。

AAHA, Managing the Caregiver Burden.

家族の負担が増える場面や、無理なく続けるための支え方の考え方を確認できます。

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