シニア犬イメージ

シニア犬の不安と夜の落ち着かなさに。食事と体重管理で体と頭を支える方法

体重を落ち着かせると、足取りと気分の揺れが小さくなります。

夕方、フードボウルの前で立ち止まり、少し迷うような顔をする。そんな場面が増えた時、食事は栄養の話だけではなくなります。体重が増えると動きにくくなり、関節の負担が増えます。動きにくさは日中の活動量を下げ、眠りのリズムも乱れやすくします。その結果、夜の落ち着かなさが強まることがあります。

ここで効いてくるのは、体重と食事を同時に見直すことです。呼び名は、カロリーのハンドルです。つまり、食事の総カロリーを小さく調整して、体の重さと毎日のリズムを支える考え方です。極端な制限ではなく、やり方を決めて淡々と続けるほうが、犬にも家族にも合いやすいでしょう。

食事量は、体の重さだけでなく、寝起きの安定にも関わります。

体重が増えた犬は、動くたびに体を持ち上げる負担が増えます。歩きにくさが続くと、散歩が短くなり、刺激が減ります。日中の刺激が減ると、夜に目が冴えることもあります。食事と体重の管理は、関節のためだけでなく、昼夜の流れを整える土台にもなります。

給餌量は、袋の目安だけで決めないほうが安全です。体格や年齢、運動量、持病によって必要なカロリーは変わります。体重の変化が緩やかに落ち着く量を探すには、数日単位ではなく、週単位で見ていくのがコツです。体重計に乗るのが難しい場合は、動物病院の受診のタイミングで測るだけでも役に立ちます。

見た目と触った感じで確認する方法があります。

体の付き方は、体格の点数で見る方法があります。BCS(見た目と触った感じで体の付き方を点数で見る目安)という考え方です。肋骨が軽く触れるか、腰のくびれが見えるか、上から見た時に胴が樽のように丸くなっていないか。こうした観察は、家でも続けやすいです。

数字だけに頼らないのも大事です。筋肉が減って脂肪が増えると、体重は同じでも歩きにくくなることがあります。筋肉の減りは年齢とともに起きやすいので、体重と同時に、立ち上がりやすさや散歩の出だしの軽さも見ておくと安心です。

減らす前に、足りているかを確かめるのが先です。

カロリーを下げる時に気をつけたいのは、必要な栄養まで減らさないことです。特に、たんぱく質は体を作る材料です。必須脂肪酸(体の中で作れない脂の成分で、皮膚や脳の働きに関わります)も、量が少なすぎると毛ヅヤや皮膚の調子に響きます。

食事量を減らす時は、総合栄養食と表示されたフードを軸にしながら、減らす幅を小さくします。おやつが多い家庭では、おやつのカロリーが思った以上に効いていることがあります。おやつは心の支えにもなるので、ゼロにするより、回数や量を小さくして、代わりに褒め方や遊びで満足感を補うほうが続きやすいです。

食べやすさは、食欲より先に整えると楽になります。

食べにくさは、認知の変化だけで起きるとは限りません。歯の痛みや口の違和感、胃腸の不快感が隠れていることもあります。最近こぼす、噛むのをやめる、食器の前でためらう。こうした変化がある時は、食べ方の工夫と同時に、動物病院で相談すると安心です。

家でできる工夫としては、水分を加える方法があります。ぬるま湯でふやかすと香りが立ち、噛む負担も減ります。温度は熱すぎない範囲にします。香りが弱いと食べ進まない犬には、フードの香りが立つように温めるだけで変わることがあります。水分が増えると満足感が上がりやすく、体重管理にもつながります。

食事は、時間の合図にもなります。

ここで視点を変えます。食事は栄養の供給であると同時に、今日のリズムを知らせる合図でもあります。食事の時間が毎日大きくずれると、犬の体内時計も揺れます。散歩や就寝と同じように、食事の時間もなるべく一定にしておくと、落ち着きやすい犬がいます。

少量を回数で分ける方法は、食欲が落ちる犬にも合いやすいです。1回で食べきれない日があっても、次の回で取り戻せます。食べられた経験が積み上がると、食器の前での迷いも小さくなります。回数を増やす時は、総量が増えないように、1回あたりを小さくして調整します。

脂肪の扱いは丁寧にすると、頭の支えになります。

脂肪は悪者ではありません。必須脂肪酸のように必要な役割があります。一方で、脂肪が多すぎる食事や高カロリーのおやつは、体重増加に直結しやすいです。塩分が多い加工食品も、体に負担が出やすいので避けたほうが安全です。人の食べものは味が濃く、カロリーも高くなりがちです。

認知の変化が気になる犬では、脂の種類が注目されることがあります。中鎖脂肪酸(消化されやすく、脳のエネルギーの助けになる可能性がある脂の成分)を含む食事設計が研究されています。ただし、どの犬にも合うとは限りません。急に増やすとお腹が緩くなることもあります。導入する時は、自己判断で油を足すより、動物病院でフード選びを含めて相談するほうが安全です。

関節のサプリメントは、補助として位置づけると迷いません。

関節の調子を支える目的のサプリメントは、歩きやすさの維持に役立つことがあります。たとえば、オメガ3脂肪酸(青魚などに多い脂の成分で、体の炎症に関わる働きを持つとされます)を含むものが選ばれることがあります。ただし、サプリメントは治療の代わりではありません。痛みが強い時や急に歩き方が変わった時は、先に原因を確認することが大切です。

サプリメントにもカロリーがある場合があります。おやつ感覚で増やすと体重管理が崩れることがあるので、全体のカロリーの中に組み込みます。持病がある犬や薬を使っている犬では、相性の問題もありえます。動物病院で、その子に合うバランスを相談すると安心です。

よくある質問。食事と体重管理でつまずきやすい所。

認知の変化がある犬が、控えたい食べものはありますか。

塩分や脂肪が多い加工食品や、高カロリーのおやつは控えたほうが安全です。体重が増えると動きにくくなり、夜間の落ち着きのなさにつながることがあります。満足感を上げたい時は、水分を加えて量感を出し、噛みやすい形にする工夫が役立ちます。

人の食べものには、犬に危険なものもあります。玉ねぎやにんにく、チョコレート、キシリトールなどは少量でも問題になることがあります。迷った時は、与える前に確認するほうが安心です。

痩せすぎや栄養不足が心配です。

食欲が落ちる日もあるため、少量を回数で分ける方法が有効です。食べやすい温度と香りに調整し、口に入れる負担を減らします。水分を加えると飲み込みやすくなり、脱水の予防にも役立ちます。

体重が減る背景には、歯の痛みや胃腸の不調、内臓の病気が隠れることもあります。食べない日が続く、急に細くなる、下痢や嘔吐が増える。こうした変化がある時は、食事の工夫だけで抱え込まず、担当の獣医師と相談しながら進めてください。

歩きの安定につながる工夫は、食事だけでは完結しません。体重の維持、痛みの管理、生活動線の安全、短い運動が噛み合うと、犬の暮らしは落ち着きやすいです。できる所から手を入れていくのが現実的でしょう。

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愛犬の無駄吠えを穏やかに減らしたいときに読みたい記事

確認に役立つ参考文献。

犬と猫の体重管理の基本と、カロリー制限と栄養不足を両立しないための考え方を確認できます。

American Animal Hospital Association 2014 AAHA Weight Management Guidelines for Dogs and Cats。 PDFを読む。

食事評価を日常診療に組み込む考え方と、栄養状態の見立て方の全体像を確認できます。

WSAVA Nutritional Assessment Guidelines。 全文を読む。

中鎖脂肪酸の補給が高齢犬の認知機能に与える影響について、研究の概要を確認できます。

Pan Y, et al. Dietary supplementation with medium chain TAG has long lasting cognition enhancing effects in aged dogs. British Journal of Nutrition. 2010。 抄録を読む。

高齢犬の認知機能の変化に対して、環境や食事を含めた早期介入が役立つという考え方を確認できます。

Cornell University Riney Canine Health Center Cognitive dysfunction syndrome。 解説を読む。

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